詐欺師はよく「打算」を利用します。つまり欲深い人ほど騙しやすいということです。

「こんなに儲かる話がありますよ」と話を持ちかけられ、「詳しく聞かせてくれ」と答えるようでは詐欺師に騙されても仕方がありません。


例えば、利殖商法という詐欺商法がありますが、これは「私たちのファンドに投資すれば、高利回りは確実です!」などと誘いをかけて集めれるだけ金を集めます。
そして、その後計画的に会社を倒産させて集めた金を持ち逃げする。

これは「儲かるかもしれない」という打算を利用した詐欺であり、ターゲットになるのは資産を持つ中高年者です。

それでは金のない若者に対しては、どのような手口を使うのでしょう?
その手口の一つが「デート商法」です。

デート詐欺とも呼ばれていますが、最近世間を騒がせている「枕 営業」とは少し意味合いが違います。どちらかといえば「ハニートラップ」の方が近い意味を持ちます。

では、そのデート商法の手口とはどういうものか事例をもとに迫っていきたいと思います。

ある人のデート商法体験談

デート商法に騙されるな!

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私がインターネットサークルのオフ会に参加したときのことです。その日はとても寒い夜でした。
男3人、女性2人のこじんまりとしたオフ会でしたが、話に花が咲きそれなりに盛り上がりました。

そのうちルポライターとして、何か話をしてほしいと言われたので、私は【デート商法】の話をしました。

デート商法とは、善男、美女の販売員が異性に近づき「恋人になれるかもしれない」と思わせながら、高額商品を売りつける詐欺の手口です。

みんなは身を乗り出しながら話を聞いていましたが、1人だけ話の輪に入ってこない男がいました。私か熱く話せば話すほど、彼だけは浮かない顔をするのです。

彼は一流企業に勤めていて美男子というほどではありませんが、そこそこの顔立ちではあります。しかし口数は少なく、恋愛経験はあまりないって感じのタイプです。

私は一通りの話を終えると、彼に聞いてみました。

「どうしました? 浮かない顔をして」

すると彼は自分の着ている革のコートを指差しました。なかなか重量感のある高級そうなコートです。

「立派なコートですね」

私が褒めると、彼は目を伏せ、肩を落としながら頷きました。

このとき、私はすべてを悟った。

「もしかして、そのコートはデート商法で…」

私が言い終わらないうちに、彼は呟きました。

「そう。これはつい2ヶ月前に買ったんだ…」
「値段は?」
「30万円」

彼はまさにデート商法の被害者だったのです。
少しずつですが、革のコートを購入した経緯を話してくれました。


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デート商法の手口【その1】『好みのタイプになりすます』

デート商法の被害は出会い系サイトがきっかけ

彼の話によると、きっかけはインターネットの出会い系サイトだったそうです。
そのサイトで彼は20代の女性に出会い何度かメールのやりとりしているうちに、彼は彼女に好意を持つようになりました。




デート商法の入口は、「街頭キャッチ」「電話でのアポイント」「インターネットのメール」の3つに分けられます。

この中で共通している手口は、市場調査を偽ったアンケートなどで、相手の状態を把捉することです。彼のように出会い系サイトを入口にしている場合は、メールのやりとりが市場アンケートの役割を果たすことになります。

アンケートやメールではじめに聞かれるのは、「現在、独身か?」「今、つきあっている人はいるか?」です。

まずデート商法のターゲットにふさわしいかを調べます。
もし、相手が既婚者だったり恋人がいるとなれば、話はここで終わることが多い。しかし、独身で恋人がいないとなると、さらに次の段階へ。

「結婚はしたいか?」
「どんなタイプが好みか?」
「好きな芸能人はいるか?」

など結婚観や理想とする恋人像を聞いてきます。

これにより、ターゲットの異性への欲望度を聞き出すことができるのです。
そして詐欺師はターゲットが好むタイプになりすますのです。




彼もしばらくメールのやりとりを続けていました。
すると彼女からこんなメールが届く。

「宝飾品の展示会に行きませんか?その後で食事でもしましよう!」

もちろん、彼はデート商法だとは気付いていません。展示会をきっかけに付き合えればいいなぁという軽い気持ちで、彼女に会いに行くことにしました。

デート商法の手口【その2】『愛という名の毒を盛る』

彼は彼女に会うことになったのですが、第一印象を聞いてみると、「スタイルはよく、美人というよりもかわいい顔立ち。性格もはきはきしていて、好みのタイプでした」

悪い言葉は1つも出てきません。まさに詐欺師は彼の「好みのタイプ」になっていたのです。

この後、彼は会場に連れ込まれ30万円のコートを買わされる羽目になるわけですが、その現場では男をオトすためのさまざまなテクニックが使われます。

その手口に迫ってみましょう。



会場では常に「恋人気分」を演出する。
そのために盛んにスキンシップをはかる。



例えば、高額なネックレスを買わせようとする場合、首にネックレスをかけると、すかさずピタリと頬を寄せてくる。
そして鏡に映った姿を2人で見ながら、耳元で

「素敵よ」

などと囁く。

そして詐欺師はさらに進む。

高価な指輪を手に取り

「この指輪、私に似合うかしら?」

いい気分になった男が、

「素敵ですよ」

と答えると、間髪入れず

「ありがとう!」

と手を握り、じっと目を見つめてくる。しばらく2人はお互いの目を見つめ合う。こうして濃密なスキンシップをはかるのです。

「耳元でささやく」
「手を触れる」
「目を見つめる」

このような直接的な手段を使い、相手の五感に愛を訴えかけ、籠絡(ろうらく)するのです。このとき、独身の男女は詐欺師に淡い恋心を抱き、心がキュッと締め付けられるような思いになるのです。
特に恋愛べ夕な男性などはコロリといってしまうことが多いのです。



また、好意を抱かせるための手口のひとつとして、次第に敬語を外すというものもあります。



過去のデート商法の事例をあげれば、最初は「鈴木さん」。次は下の名の[健一さん]。最終的には「ケンちゃん」になる。
親しみを込めて呼ぶことで、心の距離を近付けようとするのです。



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詐欺師の思うツボ。彼はコートを買ってしまう

デート商法の被害に遭った彼は彼女から革のコートを勧められる。しかし、あまりにも高額だったため購人を躊躇していると、彼女はじっと熱いまなざしを送ってくる。

そのとき、彼の心の中で変化が起こりました。

『このまま彼女と付き合えるかもしれない』

そんな打算が芽生えたのです。

『もし、ここでこのコートを買わないと、彼女との縁も切れてしまうかもしれない』という恐れと、『もし、ここで購入すれば、彼女との距離はさらに近付くかもしれない』という思いが交錯し、彼は言いました。

「このコート、買います!」

相手に恋愛の予感を覚えさせれば、金額の高さなど問題ではなくなるのです。彼は不確かな恋愛感情に振に回されてしまったのです。




私は彼に聞きました。

「今でも彼女と連絡はとれているの?」

彼は首を横に振る。

「しばらくは連絡はとれていたけれど、今はもう連絡がつかない」

失恋でもしたかのような暗い顔になっていました。彼にとっては高額なコートを買わされたことよりも、彼女との恋が実らなかったことの方がショックのようでもありました。



晩婚化が進む現代では、よりよい相手との出会いを求めている人が多い。その隙間を縫って詐欺師はやってきます。現代はデート商法がはびこる恰好の時代なのです。

探禎社 多希