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逃がさないために詐欺師が使う心理術

詐欺師がターゲットと交渉する際に必ずしも一筋縄でいくとは限りません。
逆に、いくら話しても頑固でなかなか首を縦に振らない場合の方が多い。
そこで詐敗師が「今回の話はなかったことで」と引き下がっていては、何の成果もあげられない。
ターゲットが「自分からは頷かない」ことが分かると、詐欺師は「どうやったらカモを逃がさないようにできるか」を考えます。
閉じ込めることで精神的圧迫をあおり、相手の歩み寄りを狙うのです!
ここでは、それらのテクニックについて解説していきますので、詐欺師の手口を知りカモにならず騙されないように気を付けましょう。

詐欺師の手口「まずは同意を重ねる!」

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ある朝、携帯電話の呼び出し音が嗚りました。電話に出ると若い男の声でした。

「はい、もしもし」
「朝からのお電話で申しわけありません。財テクなどには関心ありますでしょうか? 35歳で独身であれば、結構資産を持っているんじゃないですか? 普通、平均で700~800万円ぐらいですもんね」

なんと無礼な電話なんでしょう。最初に詫びたからいいようなものの、年齢、独身、資産の状況など、プライベートに関することをずけずけと聞いてくる。

寝起きの私はムッとしましたが、どんな話になるのかは関心がありました。実際には資産などありはしなかったのですが、「まぁね」と答えておいたのです。

すると、慌てたような声で、「少々お待ちください」と言い残し、電話の主が変わったのです。やり手の営業マン風の声の男です。

「私どもの会社では金や銀、そしてコーヒーや穀物などの商品を扱っております」

私はこの時点でピンときました。先物取引の勧誘の電話なんだ。

「まずは、1口6万円から運用できるようになっています。そのぐらいからなら、安心して始めていけるのではないでしょうか?」
「そうですね」

色々なことを説明し20分経っても、この男は一向に「先物取引」という言葉を口にしないのです。このままでは一日中、電話で説得されそうなので、私は直接会って話を聞くという提案に同意したのです。

私は「直接、おたくの会社に行きますよ」と言ったのですが、男は「いいえ、ぜひあなたのお住いの駅近くまで行かせてください」と言うのです。

電車賃もかからないからそれでもいいかと思い、了解して電話を切ろうとしたのですが、彼の話はまだ続く。

「話を聞いてよろしければやってくださいますね」
「はい」

さっきも繰り返し言った言葉です。

「では、待ち合わせ場所でお待ちしています」
「はい」

しつこいと思いながらも答えました。

「くれぐれも、印鑑忘れないようにしてきて下さいね」

これも2度目。くどいと言いそうになるのを抑えて、「ああ」と返事をしました。

詐欺師の手口「イエスの回数」


詐欺師の手口で、小さな同意を積み重ねることで「逃げにくい状況を作る」というものがあります。そのために1つでも多くの「イエス」をあらかじめ言わせておくようにする。それは後々、契約を迫るときの強力な武器になるからなのです。

待ち合わせ先のファミリーレストランに入り、席につくと、パンフレットと名刺を渡されました。
目付きの鋭い男です。コーヒーの注文を終えると、男は話し出しました。

「うちは経済産業省に認可された、信頼のおける会社です。ぜひ、ビジネスパートナーとしてお選びください。今、歴史的にコーヒー豆が安くなっています」

ここで彼は初めて先物取引会社であることを告げました。

「委託証拠金として50万円を当社の口座に入れていただきます。今は歴史的にコーヒー豆の価格が下かっている時ですから、買い時なんです!」
「でも……リスクは大きいんでしょう?」

と質問すると、

「はい、そのためにリスクヘッジの方法があります。それは、金額が下がった時に同じ株を同時に売り買いするのです。そうすれば、損はしません」

そのとき、先物被害に詳しい弁護十の言葉を思い出しました。

先物取引の特徴として、取引自体にかなりの手数料がかかるようになっている。損した分のお金を取り戻そうとして、何口も売り買いを続けているうちに莫大な金額を使う。その結果、トータル数十万~数百万の損を出す人もいるらしい。

そこで、私は手数料はどのくらいなのかを聞いてみました。

「ええっと、コーヒーは1口売り買いすると、5,000円になりますね」

10回も売り買いを繰り返したら、手数料だけで、元本の6万円などあっという間になくなる。しかも、それに損失を加えたら、大変なことになりそうだ。

「具体的なリスクと損をするケースを教えてもらえますか?」
「ですから、リスクはあります。それで、リスクヘッジの方法はさっき言った通りです」

何の説明にもなっていない。これ以上、彼に答える様子はなさそうです。すると、

「どうでした? 話はよかったですか?」

全然よくないのですが、反応を確かめるためにとりあえず愛想を打ちました

「ええ、まぁね」
「それじゃ、さっそくやってみましよう」

今すぐに? わずか1時間足らずの話で即決を迫るとは恐るべし!

「とりあえず、家に帰って考えてみますよ」

そう逃げると、追いかけてくる。

「何か、分からないことがあれば、今ここで聞いて決めてください」
「いいえ。別に……」

私か口ごもったのを見て、彼は強気に出てきました。

「電話では、いいと思ったらやるって言ったじゃないですか。あれは嘘ですか!」
「別に嘘じゃないよ。だから、いいとも悪いとも自分は言ってないじゃないですか」
「いいえ、私の話に対して、『ええ』とあなたは肯定的な返事をしました」

相手の反応を確かめるためとはいえ、うかつな返事をしたことが裏目に出ました。男は私の発言の尻尾をつかみ、しつこく口座開設を追ってきました。

詐欺師に曖昧な返答は禁物

詐欺師の質問に対して「ええ」とか「まあ」と答えることは禁物です。
話を聞いている立場の人間は「やんわりとした否定」のつもりで口にしているかもしれませんが、詐欺師はそれを「肯定している」と勝手に解釈し、契約を迫ってくる。もちろん、本当にそう思っているわけではないが、「ええ、と言ったら、それはやるということでしょう」と言葉尻を使いながら畳み掛けてくるのです。

これぞ、言質を取って逃げられなくする詐欺師の手口なのです。
言質とはいわば「言葉の人質」のようなものです。ふと漏らした一言を相手が後々まで覚えていて、それをここぞというタイミングで使われて焦ったという経験はないでしょうか。詐欺師たちはその手法がいかに有効であるかを熟知しています。

私たちにとっては、取るに足らない小さなうなずきも、詐欺師にとっては承認のハンコを1つもらったぐらい重要なことなのです。契約に直接結びつきにくいものであったとしても、こちらが首を縦に振れば振るほど、相手にとって有利な展開になっていくのです。

詐欺師は委縮させうなずかせる!

そして詐欺師は恫喝して逃がさない!

先物収引の営業マンと私のやりとりはさらに激しさを増していく。

「いい話だったら、やると電話で言ったじゃないですか!嘘つきですね」

彼は強気な言葉を繰り返し、口座開設を迫ります。それでも私がうなずかないと、腹を立てた様子で言い放ちました。

「ここまで俺に足を運ばせて、無駄な話をさせやがって!」

本気で憤慨しているならば、この時点で店を後にしてもよさそうなものですが、男に立ち上がる様子はありません。これは彼の作戦が次の段階に移ったことを意味している。「恫喝して逃がさない」という力技なのです。

詐欺帥は時に声を荒げ、こちらを萎縮させてから、要求を呑ませようとしてきます。声を荒げられれば人は反射的に身体を小さくするものです。そこを徹底的に攻め、相手を弱らせたところで契約を迫るのです。最も原始的でありながら、効果的な手法です。

こういう相手には冷静に対処するに限ります。私は彼に言いました。

「実は弁護士の先生から聞いているのですが、売り買い時に手数料を取られて、かなりの損を強いられるんですってね。たとえば、30万円の売り買いだとしたら、手数料だけで2万5000円。10回やれば25万になりますね」

しかし、彼は私の話をさえぎる。

「ですから、最初は50万を預けて1口6万から始めればいいじゃないですか。最初から、大口の話はしていません!」

彼は自分の方からエキサイティングして、こちらを煽ろうとしてきます。さすがに私も熱くなってきましたが、なるべく冷静に対処しなければならないと思い、答えました。

「だって、話を聞いていると、かなりのリスクがありそうじゃないですか、それを具体的に教えてくれといっても、さっきから何も言わない。損する場合はどうなるんですか?」

彼の目付きが一層鋭くなりました。言葉で通じないとみるや、こうした早変わりをする。もはやカタギの人間には見えない雰囲気になっています。彼は睨みつけるようにして言いました。

「いいえ、言ってます。リスクヘッジの方法を」
「そうじゃなくて。どのように損をしていくのか具体的に聞きたいのです」

男は電卓をバシバシ叩きながら「ですから!」の言葉を繰り返す。ここでは「電卓を叩く」という動作で恐怖心を植えつけるのが狙いなのです。しかし、私は動じなかった。らちがあかないと思いながら、努めて論理的に話を続けました。

するとついに彼はこう怒鳴った。

「お前、気分悪いから渡したパンフ返せ!」

気分が悪いのはこっちのほうです。
しかし、これは彼の交渉が失敗したことを表している言葉でもあります。ここまで彼は「恫喝して逃がさない」作戦を取ってきました。そのため凄みながらも契約を迫っていたのです。それが「パンフレットを返せ」となれば、もう交渉は決裂です。

彼はこの時点でさじを投げたのです。
その後、私は彼を席に残し、ファミレスを後にしました。

詐欺師は怯えていると見ればつけ込んでくる

男は紳士的な態度から一転、ヤクザ口調になり、脅し始めました。これは不利になった現状を打開する方法です。これまでの人格を変え、怒った姿を見せることで相手がどのような反応をするのかを見るのです。もし相手がビビり、弱気な態度を見せたら、さらに威圧的な姿で契約を迫る。

詐欺師は難癖をつける天才です。その取っ掛かりはどんなものでもいいのです。今回のケースの場合、「最初に大口の話をしているかしていないか」という論点によって、彼はエキサイトしていきました。

しかし、そんなことはこちらにとってみれば最初からどうでもいいことなのです。それを大きく見せ、さも「そちらの見解が間違っている」と言わんばかりの態度を取る。おとなしい性格の人だったら、「恫喝される」という行動を続けられることで、「ひょっとしたら自分が悪いことをしているんじやないか」という気持ちになってくるかもしれません。

一度そう思えば、詐欺師の狙い通りでなのです。

その場に金縛りのようになっているあなたはしぶしぶと契約をさせられることになるでしょう。

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