催眠商法の「選択肢を奪う手口」
日本人の多くは、ハッキリとした意志表示が苦手と言われています。

詐欺師はこうした私たちの弱い部分をつき、イエスかノーかの二者択一を用いながら、決断を強いてきます。

催眠商法・ハイハイ商法の手口と事例

催眠商法・ハイハイ商法の被害

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次から次に手を上げる老婆

無料商品を餌に連れ込まれた老婆たちはその後、どうなるのでしょう…



ハイハイ商法の手口は、次のような展開になることが多い。

会場内には日用品がうず高く積まれています。
そのまわりでワイシャツ姿の男が老婆たちに商品を渡していく。最初3、4人だった客は次々に増えていきます。

ちなみに最初からいる2、3人はサクラです。

男は老婆たちの前で叫ぶ!

「次はこのポットです。これをそこら辺のお店で買うと、1個1000円以上はします。保温効果も抜群で、軽いので持ち運びもとっても便利!それを、みなさんに50円でお分けします! ほしい人は手を上げてください! 先着4名様です」

まずサクラの老婆たちが率先して手を上げます。こんなに安く商品が手に入るならと、連れ込まれた老婆たちも「ハイ!」と手を上げてしまいます。

さらに男は叫ぶ!

「1、2、3人…、現在3人です。あと1人です。あと1人」

この言葉に釣られて、1人の老婆が手を上げる。

「はい、締め切ります!ありがとうございます。今、手を上げてくれた方はこの商品の良さが分かってくれた人。とっても嬉しいので、今日は50円もいりません。無料でポットを差しあげます」

結局は商品を「無料」であげる。このパターンを延々と繰り返していく。「ハイ」と手を上げさせ、物をあげ続けていくのです。



これには老婆たちの気持ちを高ぶらせる目的もあるのですが、それだけではありません。

この行動により男は老婆たちに対して「はい(買う)」「いいえ(買わない)」の二極化で考える癖をつけさせているのです。



最初のうちは手を上げない老婆もいます。
しかし、ワイシャツの男は巧みな話術で、こんなにいい商品が激安なのに手を上げないなんておかしい、という意識を徐々に植え付けていき、しばらくすると会場にいるほとんどの老婆が無条件で手を上げるようになっているのです。


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催眠商法・ハイハイ商法の恐怖

催眠商法・ハイハイ商法の手口

会場内には10人以上の老婆が集まっています。すると会場の扉が閉まり、老婆たちは部屋の真ん中に集められ、黒服の男たちに囲まれる。

店長と名乗る男が出てきて、今日の目玉商品である着物を紹介する。

これを売りけけるのが男たちの本当の狙いなのです!

「このたびは会場に足をお運びいただきありがとうございます。おばあちゃんたちは着物をよく着ますよね。着るという方は手を上げてください」

ほぼ全員が手を上げる。そう条件付けされているのです。

店長はうなずく。

「今回はみなさんにとってもお得な話をします。なんと、通常100万円する反物を」

突然、一斉に黒服の男たちが声を合わせる。繰り返し語ることで場の雰囲気を異様なものにし、集団催眠をかけた状態にするのが狙い。

「通常、100万円する反物を」

「今回に限り、7割引きの30万円でみなさんにご提供しようと思います」

再び、男たちが声を合わせる。

「7割引きの30万円。安い~」

店長は静かに周囲を見回し、甲高い声で叫ぶ。

「こんなに商品が安いならほしいと思う人は手を上げてください」

まずサクラが手を上げ、続いて連れ込まれた老婆たちも手を上げる。
 

「ハイ!」「ハイ!」「ハイ!」

こうなってしまってはもう男たちの思惑通り、商品配布のノリでほぼ全員の老婆たちが手を上げてしまいます。

店長は深くお辞儀をする。

「ありがとうございます。みなさんに手を上げてもらってとっても嬉しいです。それでは次の商品にまいります」

こうして、次々と6割、7割引きの着物の商品が紹介され、その都度手を上げさせられる。

まわりの黒服の男たちはどの老婆が何の商品に手を上げたのか、こと細かにチェックする。

そして、店長の説明が終わると、個別での商談が始まる。

一度「ほしい」に手を上げている手前、老婆たちは断ることができない。

もし、断ろうとすると「おばあちゃん、さっき手を上げたよね。嘘はいけない!」と男たちから、恐い目で睨まれる。

そして長時間の説得の末、高額な着物の契約をさせられてしまうのです。
 

詐欺師たちは「はい(買う)」「いいえ(買わない)」の2つの選択肢で考える癖をつけさせ、その後、「はい」ばかりが続く展開を作り上げる。

その時点で老婆たちは多くの無料商品を受け取っており、詐欺師たちに対し負い目を持たされている。

いつしか、その場においては「はい」と言って手を上げれば善、上げなければ悪という構図ができあがっている。

老婆たちはそれに逆らうことができず、次々に「本当にほしいかどうかも分からない商品」に手を上げ続けてしまうのです。

このように詐欺師は「イエス」か「ノー」かの二極化で考えさせながら、最終的には「ノー」という選択肢を奪う。

そして高額商品の購入を迫ってくるのです。

探禎社 多希