霊感商法 キャッチセールス 会場

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今が転換期と言われた洋子さんは2人に導かれて会場に入っていきました。会場の中では数人の姓名判断を受けている人がいます。

案内されて座っていた洋子さんのもとにけわしい顔をした新たな占い師がやってきました。表情とは違い愛想のいい30代くらいの女性です。

しかし、この女性は洋子さんからしてみれば「占い師」ですが、実は詐欺集団からすれば「契約締結担当者」なのです。

そして占い師は、先ほど電話で伝えられた個人情報をもとに洋子さんの置かれた状況や性格などをどんどん当てていきます。

占い師に個人情報が伝わっていることを知らない洋子さんにしてみれば、なぜこんなに見事に当たるのか?という気持ちになり
占い師を信頼するようになってしまったのです。

そして信頼を得たと判断した占い師は次のステップに移ります。

ここでもやることは路上でのやり取りの時と同じで、「気持ちを高揚させて、すぐに落とす」というものですが、ここでの大きな違いは「簡単に逃げることができない会場内(アジト)」にいるということです。

そして路上では「転換期」ということで不安感を与えましたが、ここでは更に「恐怖感」を持たせるようにするのです。

ここまで来ればもう被害者は簡単には逃げられないのです。

占い師は姓名判断の画数を見ながら、静かに語り始めます。まずは褒めるところから。

「画数から判断しても、洋子さんさんは芸術的なセンスが充分にありますよ。最近、ネイルアートの勉強を始めたとおっしやっていましたね?」
「はい」

洋子さんは食い入るように占い師の話を聞いています。

「将来、あなたの才能を存分に発揮できる仕事になるはずです。自信をもっていいですよ」

褒めておいて次は一転、崖から突き落します。

「姓名判断からも、今は重要な転換期です。でも、とっても残念なことにいい相を持っているのに、ある因縁によって活かされていません。それは…」

突然、占い師は言いにくそうに押し黙り、ジッと洋子さんの名前が書かれた紙を見つめます。いったい何なのか?洋子さんはすごく不安になっていきました。

「何か出ていますか?」

洋子さんは身を乗り出して言いました。

これは詐欺師がよく使うテクニックの1つなのですが、沈黙は相手の中の不安感を増大させます。重要な事柄を話す際に詐欺師は必ず「沈黙」というエッセンスを入れるのです。

数秒間の沈黙というエッセンスを入れた後、占い師は話し始めます。

「ここに殺傷因縁があります。あなたの名前を斜めに横切っている線があるでしょう。これがそうです。体にメスを入れるという線なんです。過去に、病気やケガで手術したことはありませんか?」
「えぇ」

洋子さんは言いにくそうに頷きました。

「そうですかぁ あるんですね。今後もっと大きな障害に遭うかもしれませんので、くれぐれも気を付けてくださいね。あと…… 恋愛について悩みはありませんか? ここに水子の相が出ているんですけどね」

もうお分かりでしょうが、占い師は事前に洋子さんの個人情報を伝えられています。その情報の中に洋子さんは恋愛経験が豊富ということだったので、過去に何か辛い経験をしているのではと、占い師はカマをかけてみたのです。

するとこのカマが的中!!

洋子さんは過去に中絶の経験があって、ずっと心の傷になっていたのです。

一瞬、洋子さんの表情が変わりました。それを占い師は見逃しません。

チャンスとばかり一気に勝負に出ます。

「水子の霊が、これからあなたの行く道を阻害するでしょう。あなただけが幸せになることを許してくれません」

水子の霊の恐怖心をあおりながら、「心の傷が見えますよ。辛い思いをされたんですね」という同情の言葉もかける。

すると、洋子さんの目に涙が……

これで詐欺師の勝利が確定!!

占い師はそっと席を立ちました。

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詐欺師は連係プレーで攻める

詐欺師の手口

席を立った占い師は別室に行き、会場内の運営を仕切っている詐欺師集団のボスである管理者に現状を伝えると、管理者が指示を出します。

「まだ若いし普通のOLなので、それはどお金は持っていないでしょう、安い商品を勧めなさい」

もし、洋子さんが資産家の娘や高収入の仕事をしているなら「高額な商品を勧めなさい」と指示を出したのでしょう。
ここはターゲットの金銭状況を見て引き出せるギリギリの額の物を売ろうとします。

しばらくすると占い師が席に戻ってきました。そして洋子さんに告げます。

「因縁を清算するためには、自分の印鑑を持つことが必要です」

そして20万円の印鑑を提示しました。涙を流し、何かにすがりたい思いになっていた洋子さんには、既にそれを拒否する術はありませんでした。

こうして彼女は言われるがままに欲しくもなかった高額な印鑑を購入することになってしまったのです。

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システム化された詐欺師の手口

相手を褒め上げ、個人情報を引き出し、問題点を探る。そしてタイミングをみて事前に仕入れた情報を使い絶望的な気分にさせ、解決策を提示し希望を持たせる。

この基本的な手順で、因縁にまったく関心のなかった人にも、高額な印鑑や壷などを売りつけることができるのです。

この手口はカルト宗教などの詐欺にも使われます。

詐欺集団はこの手口を「分業体制」という形でシステム化しています。

路上での誘い役、契約を締結させる契約締結役、最終指示を出すボス的存在の管理者の3役に分かれ、それぞれが仕事をしています。

ターゲットにされた被害者は「組織 対 個人」の体制で追い込まれていくので無防備な個人が詐欺の食い物にされるのも当然の結末でしょう。
  
   

探禎社 多希