詐欺師は身に覚えのある部分を狙ってくる
「身に覚えのない請求が自宅にきても、対応しないようにしましょう!」
架空請求の対策として、このような注意が多くの団体から呼びかけられています。
しかし、よく考えてみて下さい!
身に覚えのない人はもともとこのような架空請求など気にしないはず。気にするのは、どこかに身に覚えがある人なのです。
そのあたりに配慮して注意を呼びかけるならば「身に覚えがあっても無視するようにしましょう!」ということになりますが、そうしたところで被害が減らせるとは思えません。
詐欺師は相手の「身に覚えのある部分」を見事な手口でついてくるからです。
ここで紹介している事例を参考に詐欺の手口を知り詐欺被害に遭わないための詐欺対策にお役立てください。
架空請求の事例
私の周りの人にもたびたび架空請求のハガキやメールが届くと聞きます。たいがい債権回収会社を名乗り、見出しには「最終通知書」と書かれています。
利用金額として「20万円」と記され、さらに相手を焦らせるために返済期日まで記載されています。
そして文面はこのように続く…
裁判や法的手続きという言葉を使われると、そういった言葉に馴染みのない人は驚き、とんでもない事態に巻き込まれたのではないかという気になります。
これもターゲットを焦らせ、冷静な判断を奪うための詐欺の手口の1つなのです。
身に覚えのない人は、このような架空請求を無視することができます。
しかし、私の友人は違いました。
その友人は40歳の男性。
結婚願望を抱いていますが、現在独身。
出会いを求め、テレクラや出会い系サイトをよく利用しています。
ある日、債権回収会社の男から彼のもとに電話がかかってきました。
この時点で彼は架空請求とは思っていません。突然の借金取りの電話に慌てます。
しかし、その対応こそ、詐欺師の思うツボで、彼の動揺ぶりを知った詐欺師は畳み掛けてきます。
しかし、彼はこれ以上、話に付き合わなかったのです。これは賢明な判断でした。
そう言って一旦電話を切り、第三者に相談をしました。その相談者に選んだのは、探偵事務所の詐欺被害者無料相談窓口でした。
そこを選んだということは彼白身も心のどこかでこの電話にうさん臭いものを感じていたからかもしれません。
そして彼は相談員にこう言いました。
確かにお金を払わなかったサイトもあるかもしれません。だけど、いくらなんでも20万円は高い気がします。どう思いますか?]
彼は多少は支払ってもやむを得ないと思っていたそうですが。相談員はまず彼に「絶対にお金を払ってはいけません!」と告げました。
そしてこの架空請求の手口が不特定多数の人に対して行われていることを聞くと、彼は少し安心したようです。
しかし不安はまだ晴れないようで…
そこで相談員は彼らが自宅にくることはないと断言しました。
でも、あまりにも不安だったら、消費者センターや警察に事前に連絡しておくのもいいでしょう」
彼の不安はすべて取り除かれたようでした。冷静さを取り戻せば、何でもないことなのです。
その後、彼のもとに債権回収会社からまた電話がかかってきましたが、「専門の相談員に現在相談しています。警察にも連絡を取ろうと思っています」と強気な態度を取ることで、架空請求詐欺を撃退することができました。
架空請求の手口
「思考の硬直時間に詰め寄る!」
架空請求の根幹は「身に覚えのある部分をつく」というカラクリです。
たとえば他にこんな手口もあります。
つぶれたレンタルDVD屋の顧客名簿を入手し、片っ端から電話をかけていく。
そして詐欺師はターゲットにこう告げます。
それに対して「返しました」「そんなはずがない」と答える人もいるでしょうが、DVDの返し忘れというのは比較的、起こりやすいものです。
中には動揺し、自分のほうから頭をドげてしまう人もいるのです。
「そうだったかな~、すいません」
詐欺師はここぞとばかりに迫ってくる。
「気を付けてくださいね」
「では、延滞金は20万円になります。今度はしっかり払ってくださいね」
よく考えれば、20万円なんて法外な金額を支払う義務はないはずですが、引っかかるのは冷静さを欠いている人たちなのです。
人間というのは不意に身に覚えのある話をされると、答えにつまる傾向があります。詐欺師はその「思考の硬直時間」を見逃さず、金を払うよう迫ってくるのです。